Last Modified: April 20, 2009


研究の目的

私は,人間が言語を獲得し,知識を学習していくメカニズムに興味を持ち,このメカニズムを解明して工学的に実現することを最終目的として研究を進めている.このような観点に基づくシステムは,環境より情報を学習し,次第に成長することができる.したがって,本研究により,複雑で使いにくいシステムやプログラム作成の重労働といった高度情報化社会の種々の問題を解決し,人にやさしい柔軟なシステムを実現できるものと考えている.人間の幼児は,言語も知識も持たない状態から周囲の様々な環境より学習を行ない,言葉を話し,種々の知識を持つ大人に成長する.したがって,人間にはこのような生得的な能力は確かに存在する.そこで,我々は研究の目的を「人間の言語及び知識獲得能力の工学的実現」としている.

この生得的な能力に関する研究は,いくつか存在するが,工学的に有効なシステムが完成するまでには至っていない.また,心理学の立場からの研究も多数行われているが,これらの研究は,どのようにして子供が言語を獲得するのかを解明するという点では大きな意義があるが,そのような機構をどのようにして工学的に実現するかという問題は,当然ながら対象としていない.

この点を解明し,言語獲得能力を工学的に実現することが研究の目的となる.このようなアプローチを取ることにより人間と同等の言語理解能力を有するシステムが工学的に実現されると考えている.

では人間と同等とはどのようなことであろうか?それは,言葉を理解することができ,言葉を話すことができ,常識を持っていて,ジョークを理解でき,時々ジョークを言うことができるなど様々なものが考えられる.これらのことができるようになった時,どのような応用システムが考えられるかというと自分の意志を文章で表現して情報検索を行ったり,英語を勉強しなくても英語母語話者と対等に討論ができたり,ロボットを友達と飲み会に連れて行くことができたり,常識を持っているので人間に頼むようにロボットに仕事を頼むことができたりする.

そのような社会を実現することが研究の目的である.


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